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加藤良子(かとう ながこ)

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加藤良子(かとう ながこ)
千葉県柏市のコワーキングスペースを拠点に活動しているママライター。街の紹介冊子や商店街マップ等を多数制作してきた。その経験とともに発達した触角(食覚?)をフルに動かして、「美味しいお店・素敵なお店」を探し当てるのが特技。最近は1人でも飲みに行けるようになっただけでは満足できず、「誰かを連れて行きたい!」という衝動のもとで足繁く夜の街に繰り出している。1日の3/4を柏で過ごしているのに「愛してるのはガンバ大阪」という謎の自称・飲み食い道楽女子。

Vol.34 ウイスキーは子どもたちのため、ビールは俺のため「Tokyo Aleworks Station Taproom Yurakucho」

time 2020/11/12

Vol.34 ウイスキーは子どもたちのため、ビールは俺のため「Tokyo Aleworks Station Taproom Yurakucho」

今年に入ってから再開発が加速している有楽町界隈。赤レンガの鉄道高架下に「Five Interactive Salon(五感をくすぐる5つの嗜好を集めたサロン)」をコンセプトにした、大人がくつろげるお店がオープン。その中の一つ、板橋に醸造所を持つクラフトビール専門店「Tokyo Aleworks Station Taproom Yurakucho」を、ジェネラルマネジャーのボブさんの楽しいエピソードとともにご紹介します。

「TASTY」ってこんなところです

今年JR「有楽町」駅の高架下に誕生した「エキュートエディション有楽町」。その店舗の一つとして8月31日、「Tokyo Aleworks Station Taproom Yurakucho(以下、TASTY)」がオープンしました。煉瓦アーチ2区画からなる「TASTY」は、左側(国際フォーラム口側)がカウンター&スタンディングエリア、右側はキッチンとテーブル席のエリアとなっています。スタンディングエリアは、軽く一杯飲んで帰るというキャッシュ・オン・デリバリー。こちらはなんとなく外国人のお客さんが多いように見えます。一人でも気軽に寄りやすい雰囲気なので、お仕事帰りの一杯にぴったりですね。

■エントランスにはウイスキーの木樽が並ぶ
■かつての雰囲気をそのままに、赤レンガのアーチを活かした外観
■奥の壁に16のタップが並ぶカウンター
■店舗右側はゆっくり食事もたのしめるダイニングスペース

右側のダイニングスペースは落ち着いて食事をするグループのお客さんが主流。窓を開放して密にならないような配慮がされています。
では、ジェネラルマネジャーのボブ・ストックウェルさんにお話しを伺いましょう。

ボクがなぜ東京でビールを作ることになったのか

ボブさんはアメリカ・ニューヨーク出身。1996年に高校生で1年間の交換留学で来日した時、日本語はほとんどできなかったそうです。帰国後通っていた大学が筑波大学と姉妹校だったことから、筑波大学に通うことになり、再び来日することになったのだとか。

■筑波大学在学中につくばの研究所で働いていた奥様と出逢い結婚。ボブさんは東京に、奥様はつくばに通勤するため、中間地点で2人とも通いやすい所が柏だった。住んでみたら楽しい街だったため今も柏在住。人生の半分(18年間)を柏で過ごしている

「筑波大では人間学類を専攻していました。入学するまではまさかこの世界に入るとは想像もしていなかったのですが、大学で剣道をやっていたことがお酒の世界につながりました。剣道の先輩がスコッチウイスキー好きで、『お前、きっとウイスキー好きだろう?』と聞かれたので、これはごちそうになれるかな?と思って、実はそうでもなかったけど『ハイ!好きです』と答えました(笑)その先輩はレアなボトルコレクションなど持っていたくらいのウイスキーラバーでしたね。実際、飲んでいるうちにすごくウイスキーを好きになって、自分もいつかウイスキーやアルコールの業界に入れたらいいなど思うくらいになっていました」とボブさん。

大学を出てからはタバコの会社で営業を半年やってからマーケティング職に。その後ブランドマネージャーとして5年ほどしてから転職。1年間ユニクロ本社でメンズカットソーのマーチャンダイザーに。

「ユニクロでの経験はカルチャーショックでした。カリスマ的存在の柳井さん直属で期待も大きかったんですが、『ボク、そこまで洋服好きじゃない』って気づいちゃったんです。それから不動産のマーケティングディレクターなどを経た後、サントリーがマッカランのアンバサダーを募集していて、大学生のときからめっちゃ知っているマッカランだったので、やる気満々でした。面接の時、『最低、半年、蒸溜所で働かしてくれたらアンバサダーやります』なんていう強気な発言したんですが、サントリーの“やってみなはれ”の精神に合致したらしく無事採用となり、半年スコットランドの蒸溜所で働くことができました。その後も、半年に1回蒸溜所で原酒の情報を得てくるなどしていました。


その後、うちのアンバサダーやってくれないか?とMHDから声がかかって、また『グレンモーレンジィとタリスカーとアードベッグの蒸溜所で最低一カ月働かせてくれたらやってもいいですよ』って条件出したらOKって。アードベッグはほとんどアナログな作業でしたね。ボイラー調整も音の感覚でやらなければならないし、樽もたくさん転がしました。醸造所の一員として受け入れてもらっていました」

いやいや、ボブさん面白すぎです。でも、まだビール造りまでたどり着いていませんよね。ウイスキーからどうしてビールに?

「スコットランドの蒸溜所で働いている間、時間のある時に近くのブルワリーでボランティアをしていたんです。スコットランドでは自宅でビールを造れることもあり、独自のレシピを試行錯誤して家で作ることもできる。そんな経験が今のビール造りに役立っています。
ウイスキーは好きだけど、飲めるのは10年以上後だったり…すぐには飲めないですよね。なので、【ウイスキーは子どものため、ビールは俺のため】っていう考え方に至ったんです」
確かに、ウイスキーとビールは大麦を材料に途中まで同じ造り方ですが、ビールは数か月で完成しますね。

タップは自社製ビール14種とハイボール2種

ちょっとアイスブレイクということで、有楽町タップルームのために作ったというビール「TASTY IPA」をボブさん自らグラスに注いでくれました。

ブルワリー「Tokyo Aleworks」は2018年に板橋にオープン。当時、日本で1年間に300~400件のブルワリーが開設されていたくらい、世の中はクラフトビールブーム。そこで、ボブさんは「きちんとしたコンセプトでつくらないといけない。クラフトシーン全体の起爆剤になるようなことをしないと…」と、「Craft Revolution Not Just Evolution」というコンセプトを掲げました。

「まず最初のステップとして、ベーシックのビール種にフォーカスすることにしました。新しいブルワリーは流行りのスタイルのビール造る。逆にUKスタイルのESBとかアイリッシュレッドとかドライスタウト、ドイツ系のスタイル、古くからあるアメリカンスタイルのIPA(透明なタイプ)にフォーカスすることで、新しいクラフトビールのドリンカーにクラシックの良さを知ってもらいましょうと。クラシックなビールを提供する代わりに、フードの方で遊びごころを表現しています」

■タップNO.1の「TASTY IPA」は、「Tokyo Aleworks Station Taproom Yurakucho」の頭文字から付けた名前。JR有楽町駅とのコラボビールで、駅長さんと駅員さん5~6名がブルワリーに来て麦を量って挽くところからイーストを入れるまで、すべての工程を仕込んだのだとか
■ソフトシェルクラブ2杯をバンズに見立ててサンドした「クラブハウスサンド(1800円)」しつこいようだが、これはカニ(ソフトシェルクラブ)!
■「ベジタブルアボカドバーガー(1400円)」のパティはソイミート。見た目はボリューミーでも、さっぱりしているので罪悪感ゼロ。ビールの自然酵母で発酵させたバンズも良い。「クラフトビール飲みくらべ4種類(1500円)」は好きなビールを4種類少しずつ飲めるのでお得で楽しい
■「BOB’s NYチーズケーキ(700円)」ボブさんオリジナルレシピのチーズケーキ。こだわりは卵とちょっと酸味のあるヤギのチーズの隠し味。黒ビールが合う!

タップで提供しているビールは常時14種類すべて自社製(板橋では20種類)。オリジナルのビールをこれだけ常設している店は他にはないのではないでは。
さらに、15番のタップはタリスカー、16番はグレンモーレンジィのハイボールだということに驚きます。
「いつでも安定しておいしいハイボールを飲んでもらいたいから。ビールの樽を開けて、7本のウイスキーをいれ、炭酸水をいれて空気抜き、圧力調整。シングルモルトウイスキーのハイボールはちょっと濃いめがおいしい」とボブさん。

■なんと!タップにハイボールが。タリスカー、グレンモーレンジーのハイボールをオンザタップハイボールで出しているのは、世界でここと板橋の2軒しかない。なお、グレンモーレンジィの16番には意味があって、テインの16人の男たちがグレンモーレンジィを完璧にした、というエピソードから

タップルームは宿場町に作りたかった

ブルワリーやタップルームは江戸時代の宿場町に作りたかったというボブさん。ブルワリーは板橋の宿を選びました。
「もともと僕が考えていたのが、江戸時代の宿場町に店を作ること。まずは板橋にブルワリー、次は新宿、品川、千住(上野)、最後に東京に出せたらいいかなと思っていたら、事前にJRの方が名乗らずに視察に来ていたらしく、後日、JR有楽町駅からオファーが! いきなり2店目で終点に来ちゃうけど、ロケーションがいいのでチャンスを掴まないとね」

■明治時代、下板橋に東京都で初めてのブルワリーがあったのだとか。当時はビールのことを「ヒイル酒」と呼んでいた
■「TASTY」のロゴマーク。TOKYOの文字にステンシルでノイズを入れて文字が隠されている。スコッチの樽をイメージした丸は有楽町店の場合線路を模している。縞の黒い部分は、山手線と同じ駅数(30個)。上部は東京のスカイラインになっていて、英語で「イタバシTOザワールド」という文字も隠れているが見つけられるだろうか?板橋から東京を経て羽田から飛行機で世界を目指す!という絵模様になっている

試行錯誤とチームワークで乗り越えてきた開店まで

「TASTY」の出店はコロナ禍以前から計画してきたとのことですが、板橋の方も営業があったので大変だったのではないでしょうか?
「当初の予定では7月のオリンピック直前にオープンする予定でした。工事が一旦止まっていたため全体のスケジュールが押してしまって工事終わったのが8月29日。30日朝にいろいろ準備が終わって夜にプレスを呼んで、オープンは31日、全部ギリギリでバタバタ(笑)普通ならプレオープンとかするんでしょうし、やりたかったけどもうオープンするしかなくて…」
やはり!ですね。板橋のブルワリーでは困ったことはなかったですか?

「もとからオンラインストアで通信販売、ウーバーイーツでデリバリー、小売り販売免許を持っているのでテイクアウトができるようになっていたのは強かったです。おかげさまでスタッフは誰も辞めてないです。通常営業ができなくても、ビールにラベル貼るとかなにかしらやることはたくさんありました。板橋のスタッフはみんな家が近いので、何かいいアイデアないか?とみんなで考える方が良かったみたいです。また開放的なテラスがあって、そこにサーバー出してお祭りみたいに販売してみたらとても好評だった。有楽町の方のスタートはゆっくりかな。オフィスにまだ人が戻ってきていないです」

「TASTY」は朝8時から通し営業しているので、看護士さんや警察官など夜勤明けの方がいらっしゃって勤務が終わった後にビール一杯飲んでから帰る方も多いのだとか。もちろん、本格的に淹れたコーヒーも飲めるしモーニングセットもあるので朝食をとる方も。

「朝に需要があれば、夜に来てみようという方もいるはず。朝ビールは結構出ますね。テイスティングセットで4種類飲んで帰る人も。銀座が近いので、夜遅くまで営業している店のバーテンダーさんなども来てくれます。新型コロナはみんな初体験だから何が正解かわからないから、できるだけリスクを少なくしてやっていくしかないですよね」とボブさん。
オフィス街にあるお店はみなさん大変なようですが、頑張っていただきたいですね。

「TASTY」には私も仕事帰りに一人でも寄れそうですが、板橋のブルワリーにもいつか行って、すこしのんびり過ごしてみたいです。

「Tokyo Aleworks Station Taproom Yurakucho」
住所:東京都千代田区有楽町2-9-7 JR東日本有楽町駅高架下 エキュートエディション有楽町
営業時間 :月〜土曜8:00~23:30 /日曜・祝日8:00 ~22:30
電話番号:03-5843-2787
定休日:不定休
アクセス:JR「有楽町」駅 直結
HP:https://tokyoaleworks.com/



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