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加藤良子(かとう ながこ)

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加藤良子(かとう ながこ)
千葉県柏市のコワーキングスペースを拠点に活動しているママライター。街の紹介冊子や商店街マップ等を多数制作してきた。その経験とともに発達した触角(食覚?)をフルに動かして、「美味しいお店・素敵なお店」を探し当てるのが特技。最近は1人でも飲みに行けるようになっただけでは満足できず、「誰かを連れて行きたい!」という衝動のもとで足繁く夜の街に繰り出している。1日の3/4を柏で過ごしているのに「愛してるのはガンバ大阪」という謎の自称・飲み食い道楽女子。

Vol.30 日本酒が料理に寄り添う“ペアリング”とは?「赤星とくまがい」

time 2020/01/30

Vol.30 日本酒が料理に寄り添う“ペアリング”とは?「赤星とくまがい」

1月は新年会など、乾杯をする機会が多い月でしたね。新年の祝酒といえば日本酒ですが、日本酒も多種多様な銘柄や種類があり、それぞれをどういう料理に合わせればよいかわからないという声もよく聞きます。今回ご紹介するのは麻布十番にある「赤星とくまがい」。料理それぞれに合う日本酒を提供する“ペアリング”という方法で、世代や国籍などを超え注目を浴びている日本酒BARです。

麻布十番の隠れ家日本酒BAR

麻布十番駅から麻布通りに出て、すぐに路地に入って数分。「赤星とくまがい」は、割烹などの高級飲食店が入るビルの7階にあります。中に入るとまずは大きな一枚板のカウンターと有名な日本酒の銘柄が書かれたバックバーに目が行きます。照明も大人な雰囲気ですね。
日本酒のお店ですが、料理は和食とイタリアンの融合ということで、和洋折衷なしつらえです。

■カウンターが12席、グループでの利用ならテーブル席(8席)も
■ナフキンは和手ぬぐい、帆布の酒蔵コースターも粋。白木のカウンターは温かみある樫の木の一枚板。ただし、クレーンで搬入する時に長すぎて入らずに泣く泣く半分に切ったのだとか

なぜ、あえての“ペアリング”なのか?

■オーナーの赤星さん

「赤星とくまがい」のコンセプトは日本酒と料理を合わせて提案する“ペアリング”。でも、よく聞く“マリアージュ”とはどう違うのでしょうか?
「マリアージュは“交わる”とか“結婚する”という意味のフランス語で、2つが混ぜ合わさることで良さが生まれるというとてもワイン的な表現ですよね。ペアリングは“横に寄り添う”こと。寄り添いながら互いの良さを引き出すものだと考えていて、それはとても日本人っぽい感覚で、世界に発信できる日本の強みだと思うんですよ。でも、島国で生まれた日本酒の良さが世界中の人に知ってもらえるようになったのは、ワインという文化があるからだとも思っています」と酒ソムリエでもありオーナーの赤星慶太さん。

赤星さんは神戸出身。ワインソムリエと唎酒師の資格を取得してから1998年に地酒のインポーターとして渡米し、ニューヨークを拠点として地酒を全米に広める活動をしてきました。酒販資格なども取り約20年のアメリカ生活を終えて、2015年にニューヨークで知り合った熊谷道弘シェフとともに「赤星とくまがい」を開店しました。

■厨房の窓からはシェフの熊谷さんの真剣な表情が見える

「日本文化の良さをとてもよく表しているのが日本酒だと思うんです。アメリカでは流行っているのですが、むしろ日本では日本酒の需要が落ちてきています。だから、一つの文化が衰退してしまうのを危惧して日本に帰ってきました。もっと日本酒を若い人達に飲んでもらいたい。でも、ただ『おいしいですよ』といわれても簡単には飲んではもらえないんですよ。じゃあどうしたらいいか? 実は、有名人が語るとすごく影響が大きいです。実際にテレビで紹介してもらった時には『テレビで見て来ました』という人がとても多かったです。でも、そこから拡げていくために自分ができることは何だろう? と考えた時に、“日本酒を料理に合わせることで、その良さを再確認してもらう”ことだと。そして、それはイベント広場とかでやるだけでは続かない。その時においしいと思ってもイベントなどの単発の場所では、次にまた行きたくても行けなくなってしまいます。でも、こういう場(店)があればまた来てもらえる、また体験してもらえる…それが『赤星とくまがい』を作るきっかけです。
日本酒の種類を教えることは僕じゃなくてもできる。でも、ゆっくりとコースで食べてもらいながら、その料理に合ったお酒を飲む順番もしっかり考えたペアリングをすること。それが僕にしかできないことだと考えています」と赤星さん。

前菜から最後のデザートまで。心躍る一皿と一杯が続く

では、いよいよ本日のおまかせペアリングのコース、スタートです! ちょっとドキドキします。


1品目の「北海道厚岸産牡蠣と林檎の酢のもの」には、会津若松の地酒でリンゴと相性がいいお酒。濁り酒ですがとても軽いタイプで飲みやすい。牡蠣のクリーミーさとも合います。

■酸の強いものはすっきりとスムーズに喉の奥に入るように、飲み口があまり大きくないうすはりのものを…など、酒の個性に合わせてグラスをセレクトする。まずは一口飲んでから料理を一口。そしてまたお酒に戻る。そんな風に一つひとつを味わいながらいただく。
「赤星とくまがい」では日本酒を提供するのは主にグラスで、表情豊かな「津軽びいどろ」が多い

「ペアリングは最初が大事です。スタートで次の料理やお酒へどんな風につないでいけるか?ワクワクしていただきたいです。今回は実はデザートがメインです。デザートとそのお酒が一番しっかりしたお味になっているので、お楽しみに!」

そして2品目は「白子と湯葉~ズワイガニとセリのあんをかけて~」。実はこのやさしい味のお料理が毎回ソムリエを悩ませるのだとか。
煮込み料理はシェフのその日の体調や、毎日引くお出汁のかつお節の量で変わるため、その日の出汁の具合をみてから合わせるお酒を決めています。
「『これだ!』と完璧なものを決めていると、ちょっと違ってしまうととてつもなく合わなくなる。それを気づかせてくれたのは常連のお客様でした。試しに飲んでみたら、ほんとに合っていませんでした(笑)昨日まではあれだけ合っていたのに…むしろ合いすぎていると少しずれるとまったくダメになるんですよ」と赤星さん。
今回は実はいつもとは違うバージョンでした。香りよりも旨みを当てて、白子のクリーミーさに合うお酒をセレクト。

3品目は「白魚とそら豆のかき揚げ」。これにはレモンをふりかけて、塩でさっぱりといただきます。レモンの酸味とよく合う「飛龍」でいただきます。

■くぼみのある手焼きの皿は、埼玉県の作家さんによるもの。実は刺身用に作ってもらったのだが、こうしてレモンを添えたりできるので、揚げ物でも大活躍

いよいよコースも佳境に入ってきました。4品目は「産地直送刺身三点盛り」です。まずはまぐろから。常温の「弁天娘」をペアに。ずっしりした味がトロの旨みとマッチしています。次のたいら貝には千葉県香取郡の「不動」。むむ?香取といえば、神崎のお酒ですね!これはお醤油との相性がいいということ。やはりという感じです。最後にウニには火入れ無濾過「X3亜麻色」というラベルからして雰囲気が違うお酒。実は麹が3倍使われていて、色味もやや褐色です。飲んでみると、少し甘みを感じるコクのあるタイプ。まるでシェリー酒のようです。そのコクがウニと合うんですね。

5品目は「真鱈のロースト~下仁田ネギクリームソースで~」。これには「新政」の初しぼりを合わせます。元旦にしぼって地元の神社でご祈祷を受けているというおめでたいお酒。ネズミ年なのでラベルにネズミが書いてあるのも可愛いです。酸味のあるお酒なので、クリームにレモンを入れるような感覚でいただきます。

6品目は「イベリコ豚のロース炭火焼き~金柑味噌で~」。主張は強すぎず、ほのかな柑橘の香りがイベリコ豚を爽やかに包みます。これに合わせるのはきりりとした灘の酒「七つ梅」の燗酒。

■料理と合わせる時、冷、常温、燗、で同じ酒でも表情が変わる。テーブルに出して置いておくと常温になるので、通常は常温での相性で合わせる

7品目、「鰤しゃぶ出汁茶づけ~みつばの出汁をかけて~」。これにはお酒のペアは無し。お出汁のやさしい味にホッとしながら舌を休ませます。

では8品目、いよいよ「本日のデザート」。今日のメインといってもいいサプライズメニューです。

6時間ほどじっくりと時間をかけて作るイタリアンのプリンはかなり濃厚。これにも日本酒を合わせてしまいます。しかもなんと燗酒です! 山口県岩国の「五橋」。錦川にかかる五連の反り橋「錦帯橋」から付けた名前だとか。懐かしい…広島に転勤で住んでいた時によく行きました。日本酒の楽しさは、その蔵元の地域の風景を思い浮かべながら飲めることにもありますね。
さて、このペアリングのイメージは“コーヒーとデザート”。プリンのカラメルを口に含むと、まるで燗酒がブラックコーヒーを飲んでいるような酸味や苦味、コクを感じます。実に面白いです。

最後にお茶を出していただきました。その器がまたかわいらしい!
とちの木をくりぬいて作られた湯飲みで、外側に熱が伝わらないため、熱いお茶でもしっかり手に持って飲むことができます。内側には防水のため薄くコーティングされていますが、表は木のぬくもりそのままに塗装はされていません。

「実は、これを作っているのは空間プロデュースをしている会社さんで、カウンターとか内装とか大きなものしか作ってないんですよ。しかも何日もかけて乾燥させながら作るのでとても手間がかかるから、結構お高いんです(笑)」
海外から来た人からも欲しいといわれて、「赤星とくまがい」のクマの刻印が入ったこの湯飲みに限って、店経由で販売しているのだとか。確かになでなでしていると気持ちいいんですよね。

今年5年目で今後どうやって行くか?何時も考えている

「こういうお店って、結局お客様が来てくれないとだめなんですよ。これからどういう人とつながるか?どれだけお客様とのパイプを作るか?そういうつながりが大事だと考えています。来ていただいたお客様には価値ある料理を食べていただく。そういう基本的なところはブレない。でも、それだけではダメ。料理やお酒を食べていただきながら、そのバックグラウンドや自分なりの言葉を添えて行くのが僕のできることだと思うんです」と赤星さん。

■運命的に出会った二人の息の合ったサービスに魅了され、リピートする客も少なくない

海外を拠点に活動してきた赤星氏と、奇跡的に同じ頃、同じ場所で活躍していた熊谷シェフが織りなす“酒が料理に寄り添う”ペアリング。初めての方にはお酒との良い出会いを、酒好きには新たな発見の場となりますように…そんな願いがこもった一皿と一杯がその人の心を豊かにしてくれるでしょう。

ここはですね…やっぱりデートで使ってほしいです。男子、こういうところに女子を連れて行かねばですぞ!

「赤星とくまがい」
住所:東京都港区麻布十番3-3-9 VORT 麻布十番ビルII 7F
電話番号:03-6459-4589
営業時間:火~木 18:00~24:00、金・土18:00~翌2:00
定休日:日・月曜、祝日
アクセス:東京メトロ南北線「麻布十番駅」徒歩4分
HP:http://akakuma-sake.com/



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