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加藤良子(かとう ながこ)

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加藤良子(かとう ながこ)
千葉県柏市のコワーキングスペースを拠点に活動しているママライター。街の紹介冊子や商店街マップ等を多数制作してきた。その経験とともに発達した触角(食覚?)をフルに動かして、「美味しいお店・素敵なお店」を探し当てるのが特技。最近は1人でも飲みに行けるようになっただけでは満足できず、「誰かを連れて行きたい!」という衝動のもとで足繁く夜の街に繰り出している。1日の3/4を柏で過ごしているのに「愛してるのはガンバ大阪」という謎の自称・飲み食い道楽女子。

いいコト・いいトコ《其の六》 ジャパニーズウイスキーの父・竹鶴政孝が見初めた理想郷「余市蒸溜所」

time 2019/10/21

いいコト・いいトコ《其の六》 ジャパニーズウイスキーの父・竹鶴政孝が見初めた理想郷「余市蒸溜所」

この十数年、国内外で高く評価されているジャパニーズウイスキー。さらにハイボールブームやテレビドラマの人気を追い風に消費量が急増したため、原酒に限りがあるウイスキーは愛好家だけでなく、一般消費者からも注目を浴びる存在となっています。そのジャパニーズウイスキーの父といわれるニッカウヰスキーの創始者・竹鶴政孝が約85年前に見初め、工場をつくったのがここ「余市蒸溜所」です。今回のいいコト・いいトコは、北海道・余市の美しい自然の中にある蒸溜所をレポートします!

ニッカウヰスキーの原点・「余市蒸溜所」

私がいつも仕事をしている場所で、このコーナーにも何度も登場する“柏”ですが、皆さん、ここにニッカウヰスキーの工場があるのはご存じでしょうか? 柏工場はウイスキー、焼酎、缶チューハイ・カクテルなど、ニッカ最大の総合パッケージング工場です。そういった縁もあって、すでに「余市蒸溜所」は個人的に2回訪れています。

■札幌からJR快速エアポートで小樽まで40分。
■小樽駅で乗り換え。鉄道の時間が合わない場合はバスが便利。
■JR函館本線に乗り換えて20分くらいで余市に着く。
■余市駅からは歩いてすぐ。初めて来た時、この重厚な門を見ただけで感動!

さて、さっそく蒸溜所に入場しましょう。広々とした敷地に赤い屋根の石造りの建物が並んでいます。お城みたいですね。

ここからはウイスキーアンバサダーの金子太郎さんに案内していただきます!ニッカウヰスキーの「余市」のウイスキーができるまで、そして、創始者・竹鶴政孝さんとリタさんの当時の暮らしを振り返る見学ツアーのスタートです。

■アサヒビール株式会社マーケティング本部担当副部長でウイスキーアンバサダーでもある金子さん。蒸溜所のことからウイスキーのことまで、なんでも答えてくれる。

モルトウイスキーの製造過程をたどってみる

ウイスキーといってもさまざまな種類がありますが、ここ「余市蒸溜所」でつくっているのは、大麦の麦芽のみを原料としたウイスキーである“モルトウイスキー”です。モルトウイスキーの原酒の製造工程は、「製麦」「乾燥」「糖化」「醗酵」「蒸留」「貯蔵・熟成」の順になりますが、「余市蒸溜所」では「糖化」以降で、ブレンド・ボトリングは他工場で行います。
まずは「製麦」ですが、原料となる大麦を水に浸して適温を保ち、発芽させます。
発芽したらピート(泥炭・草炭)を焚いて「乾燥」させます。ピートを燃やすと独特の香りが立つのですが、その煙に燻された麦芽はウイスキー特有のスモーキーフレーバーとなるのです。

■乾燥棟(キルン塔)。ここで麦芽を乾燥・燻す。ただし現在、通常は稼働していないが、「マイウイスキーづくり」というウイスキーつくり体験イベントでは実際にここで乾燥させている。この日も9月に使った後だったので、まだ薫香が漂っていた。
■本物のピートを触ることができる。「実はピートは燃やさないと薫香はしないんですよ」と金子さん。嗅いでみたら、確かに土の匂いしかしない。

乾燥したモルトを細かく砕いてから、65℃の温水に入れ、ゆっくりと混ぜ合わせます。そこでモルト内の酵素の働きで甘い麦汁ができるのですが、それを「糖化」といいます。

「糖化」したモルトをろ過して酵母を加え、この大きなタンクで「醗酵」させます。そこで糖分がアルコールに分解されて、この時点でアルコール分7~8%の醗酵液(もろみ)になります。

■「醗酵」のタンクは見学ツアーでも見ることができる。この時点ではまだビールのよう。
■正面のノッポの塔は「給水塔」、右の大きな建物はボトリング場(今は稼働していない)、左の建物が糖化・醗酵を行うところ。通常はこのエリアは立ち入り禁止。今回、特別に入れていただいた。

さて、いよいよこの「余市蒸溜所」の最大の特徴である「石炭直火蒸溜」の工程です。
醗酵液(もろみ)を加熱してアルコール分と香味成分を抽出するのですが、それに使うのがポットスチルという蒸溜器です。竹鶴政孝は「余市蒸溜所」をつくるにあたり、初めての実習先であるスコットランドのロングモーン蒸溜所の方式にならい、この「石炭直火蒸溜」方式を採用しました。
「適切な火力を保ちながら石炭をくべるには熟練の職人の技が必要になります。もう今では世界でも珍しい蒸溜方法となってしまっていて、これをやっているのは本家のスコットランドでも無いかもしれません」と金子さん。

■左から2番目が一号蒸溜器。現在は使用していない。
■定期的に石炭をくべる様子はまさに職人技!見学ツアーでも一番盛り上がるのがここ。

蒸溜器や貯蔵庫の入口にかかるしめ縄は、金子さんによると「余市蒸溜所は余市神社、宮城峡は諏訪神社でご祈祷していただきます。しめ縄に下がっている紙垂(しで)は吉田流だそうです」とのこと。スコットランドを見習った釜に日本ならではの風習を取り入れるところに、造り酒屋をルーツにもつ竹鶴さんならではのこだわりを感じました。

「余市蒸溜所」での最後の工程「貯蔵・熟成」。平屋造りの貯蔵庫に、アルコール分を63%程度に調整した蒸溜液を詰めた樽をねかせます。ホワイトオークを使った新樽から、シェリーやバーボンを入れていた樽などを使い、貯蔵することでさまざまな香りや色の個性豊かな原酒ができます。

「ここの貯蔵庫の特徴は平屋であることです。土間の方が熟成にいいということで、土間の造りになっていて、2、3段までしか積みません。逆に宮城峡ではラック式といって高い棚もあります。樽を置く位置によって熟成の加減が違ってくるのですが、むしろその差があることで原酒の味や香りが異なり、ブレンドする時にその違いが生きてきます」。なるほど、ウイスキーってホントに面白いですね。

■ウイスキーのラベルに表記されている年数は、ブレンドされた原酒の中で最も熟成年数が短い樽の年数。例えば17年と表記されていたら、ブレンドされている一番若い原酒が17年モノということ。商品として出荷されるまでに長い時間をかけてここで育てられている。

緑ひろがる敷地に点々と建つ貯蔵庫が絵になる蒸溜所ですが、金子さんからこんな話が…
「この貯蔵庫1~3号が建っているところは実は昔は沼に囲まれた島だったんです。当時は橋を渡って貯蔵庫まで行っていたのです」。
なんと!ここが沼だったとは!
「余市はもともとニシン漁が盛んだったため、余市の街はニッカができる前からあって鉄道もすでに通っていました。
私はニッカができたので鉄道が引かれたのかと思っていたので、その事実にも驚きでした。

■見学ができる1号貯蔵庫の壁面は「札幌軟石」という石造り。この付近は石も豊富に採れたとのこと。内部は木造。

マッサン&リタの暮らしを偲ばせる施設の数々

蒸溜所内には工場の他に事務所として使っている建物や、住居だったものを保存・公開していて、竹鶴さんの暮らしぶりを垣間見ることができます。まず、訪れる人が写真を撮るのが「リタハウス」でしょう。

「リタハウスって書いてあるので、リタさんが住んでいたと思われるのですが、住んではいません(笑)研究所として使っていたことがあるんですが、以前はティールームとして公開して、ここで紅茶とスコーンを楽しんでもらうことができました。現在は老朽化してしまって、立ち入り禁止です」。それは残念!

■こちらが竹鶴さん一家が住んでいた住居。別のところから移築したもので、一部公開している。私たちは特別に非公開のところを見せていただいたが、画像は非公開なのですみません!
■右側の緑の屋根が旧事務所。このように、赤い屋根が工場で、緑の屋根が住居や事務所などと分けられている。
■スタッフによっていつも整えられている敷地内は、どこを見ても美しい。

蒸溜所の外にある、竹鶴さんゆかりのスポット

さて、ちょっと一休み…の前に、蒸溜所を出て、竹鶴さんゆかりの場所を金子さんに案内していただきました。

まずは竹鶴さんがスコットランドの原風景と似ていて、ウイスキーをつくるならここだ!と決心した、あの余市川です(雪の余市川でエリーさんが歌うシーンはここです)。

■ちょうど鮭が遡上してきているところを見ることができた。鮎(あゆ)の最北限の川でもある。
■次に向かったのは竹鶴さんの住居があった場所。そこには蔵だけが残されている。重くて移築するには大変だったため、これだけが取り残されているのだとか。知らないと完全にみのがしてしまう場所。
■1941年に竹鶴が余市高校の裏山につくったジャンプ台「竹鶴シャンツェ」。ニッカウヰスキーの社員であった笠谷幸生選手(札幌オリンピックで金メダルを獲った)を輩出した。余市はジャンプ競技の盛んな町だ。
■ニッカが新しくつくっているヴィンヤード。温暖化のおかげで、ピノノワールなどのワイン用の葡萄が良く育つようになった。まだ葡萄の苗を生育中だが、2023年にはワイン製造を目指している。ちなみに、余市はリンゴや葡萄など、果物の産地としても知られている。この日も畑にリンゴがたわわに実っていた。

お楽しみ!試飲コーナー&BAR

外から戻ったら、いよいよ蒸溜所の目玉ともいえる…試飲コーナーに。試飲カードに名前や年齢を記入して、それと引き換えに「シングルモルト余市」「スーパーニッカ」「アップルワイン」の3種類のお酒がいただけます。

■レンガの建物の2階が試飲コーナー。1階はレストラン。隣の建物は売店。

限定酒を飲みたい!という方は「ウイスキー博物館」の中にあるBAR「ウイスキー倶楽部」へ。

なんと、かなりちゃんとしたBAR(有料試飲)があるんです!
ここでしか飲めないという「シングルカスク余市10年」をいただきました。

気持ちが焦るあまり、順番が前後してしまいましたが、「ウイスキー博物館」では、ウイスキーについての歴史や製造工程を学ぶことができます(竹鶴政孝リタの物語や、スコットランドで学んだ際の資料などが展示されている「ニッカ館」は2019年11月現在工事中)。

■過去に製造されたレアな瓶なども展示されている。

製造工程では宮城峡にあるグレーンウイスキーをつくる「カフェ式連続式蒸溜機」の模型も展示されています。1830年にイーニアス・カフェが連続式蒸溜機を改良してつくった「カフェ式連続式蒸溜機」がニッカウヰスキーに導入されたのは1962年のことですが、この模型の横にはすてきなエピソードが…。
導入の資金繰りに困難を極めていたところ、数十億を投資して「カフェ式連続式蒸溜機」導入に協力してくれたのが、竹鶴政孝とは摂津酒造時代からの友人で、ウイスキーづくりに深い理解を示してくれていた、初代アサヒビール社長山本為三郎氏だったのだそう。
それが今のアサヒビールとニッカウヰスキーの関係につながっているとわかって、ものすごく納得したのでした。

■博物館の入口には樽に囲まれてポットスチルが展示。

ウイスキーラバーなら絶対行くべし!感動保証します

ここのところ札幌に来るたびにここに来ているのですが、何度来ても飽きません。ほんと、良いところです。札幌からは1時間強で来られますし、来る途中の車窓からは海が見えます。今回は小樽に泊まったので小樽観光もできました。

■正門の上にある貴賓室(非公開)の窓から。

広々とした海やのどかな余市の風景を見ていると、90年も前にスコットランドからはるばる日本にお嫁に来て、さらに誰も知る人のいないこの北の大地に移り住んだリタさんの心境を考えると、なんだか胸がキュンとなります。冬の雪景色はなおさらではないかと思います。
ウイスキーを愛する人はもちろんですが、マッサンのドラマで竹鶴夫妻の存在を知った人も、ぜひ「余市蒸溜所」を訪れていただきたいと思います。私は…次は宮城峡かな(笑)

「ニッカウヰスキー 余市蒸溜所」      
住所:北海道余市郡余市町黒川町7-6
TEL:0135-23-3131
営業時間:9:00〜17:00
休業日:12月25日~1月7日
アクセス:JR余市駅から徒歩約2~3分
HP : https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/



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